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中垣喜彦・石炭エネルギーセンター会長 日本の石炭火力技術で温暖化対策に貢献を(産経新聞)

【政策を問う】

 --エネルギーの主役は石炭から石油を経て、二酸化炭素(CO2)の排出のない原子力や再生可能エネルギーに移りつつあるとの認識が広がっている

 「再生可能エネルギーは出力が天候に左右される。原子力は高度な安全性を要求される上、需要に応じて出力を変動させることはまだ難しい。いずれも重要だが問題点がある。石炭は世界各地に分布し、地政学的リスクが小さく価格も比較的安定している。安定的なエネルギー供給を確保する上で果たす役割は大きい」


 --石炭火力発電の環境面での性能は

 「最新の超々臨界圧プラント(USC)を採用する電源開発(Jパワー)の磯子2号機(横浜市)は発電効率が43%だ。他の先進国ではこれより数ポイント低く、途上国はさらに数ポイント低い。かつて日本では、国内産石炭の価格上昇でエネルギー源は石油に移ったが、石油危機で海外産の石炭を輸入するようになった。公害問題もあって、効率化が進展したのだ」


 --さらにCO2排出を抑えることは可能か

 「USCの一層の改良や、より高効率な石炭ガス化複合発電(IGCC)、CO2を回収して地中に閉じこめるCCS技術の開発が進んでいる。これらが商用化されるまでは、USCの導入を広げるべきだ。国内の石炭火力の出力は計約3800万キロワットで、このうちUSCは3分の1程度。残りの発電所に順次導入していく必要がある」


 --導入が進めば、燃料費も削減できる

 「USCは一般的な設備より10~20%程度高価で燃料費の節約分を上回ってしまう。ただ、石炭価格が現在の1トンあたり約90ドルから上昇傾向にあることを考えると、設備投資額の1割程度の公的助成があれば、導入が進むだろう」


 --USCが世界で導入されると、CO2排出削減が進みそうだ

 「仮に米国、中国、インドの石炭火力発電所をすべて日本のUSCに入れ替えれば、日本全体の排出量に匹敵する年間13億トンのCO2を削減できる。各国産の石炭の質の違いもあり、この通りにはいかないが、それ以外でも日本の高度な保守点検の技術などを活用すれば、各国の事情に応じた効率化はできる」


 --日本の技術普及を促す上で重要な、地球温暖化対策の国際的な枠組み作り交渉は難航している

 「先進国が途上国の温室効果ガス排出削減に協力する見返りに排出枠を得るCDM(クリーン開発メカニズム)の活用がかぎをにぎる。しかし国連のCDM運用は手続きに時間がかかる。日本がリーダーシップをとり、途上国と2国間のCDMの枠組みを作って、技術移転を進めるべきだ」

【プロフィル】中垣喜彦 なかがき・よしひこ 九州大法卒。昭和36年電源開発。取締役などを経て平成13年社長、21年6月から相談役。17年4月から石炭エネルギーセンター会長。福岡県出身。72歳。

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